NEWS

神戸で広がるイノベーションの波——スタートアップが共鳴するまちKOBE——

2025年3月13日、神戸市中央区の起業支援拠点「起業プラザひょうご」にて、東京圏のスタートアップ5社を招いたビジネスイベント『KOBE Business Innovation ―成長企業が活用する最新ソリューションを学ぶ―』を開催しました。

これまで、主に神戸市内にてスタートアップのエコシステム形成に取り組んできましたが、このイベントは、神戸の市内企業と東京圏のスタートアップをつなぎ、地元企業の付加価値向上と神戸へのスタートアップの集積を目的とした新たなチャレンジです。

このKOBE Business Innovationの目的は、主に2つです。

  1. 1. 神戸の市内企業が、東京圏のスタートアップが展開する新しいサービスを知り、
  2.   自社に導入して生産性向上につなげるきっかけを作る。
  3. 2. 東京圏のスタートアップが、神戸はスタートアップ支援に積極的でビジネスを展開しやすい
  4.   場所だと知り、神戸でイノベーションが起こりやすい環境づくりを目指す。

登壇スタートアップ×神戸エコシステム

今回登壇したスタートアップは、地元企業が抱える課題の解決や、共創できる可能性が高いサービスを提供する5社を選定しました。いずれもAI等の革新的なテクノロジーを活用しており、大手企業など多くの事業会社に導入実績があります。

会場の様子

コクー株式会社 地方創生DX室 室長 安藤 崇敬 氏https://cocoo.co.jp/

デジタル人材の“地産地活”を

企業がDXを進めようと新システムを導入しても、うまく活用できない、機能を最大化できない。そうした「エンジニアじゃなくていいんだけど、デジタルがわかる人材がほしい」というニーズに応える、ミドルレイヤーのデジタル人材育成を行っています。

その人材の約9割がデジタル未経験者で、社員の8割が女性。他社にはない育成メソッドを、地方の企業にも提供し、その地域にいる人自身がデジタルの力を身につけて、地元経済を豊かにする“デジタル人材の地産地活”を目指しています。

安藤 崇敬氏 登壇

株式会社ベター・プレイス 代表取締役社長 森本 新士 氏https://hagukumikikin.jp/

お金が理由で将来が閉ざされることのない社会を

ベター・プレイスは、中小企業向けに企業年金サービス「はぐくみ」を提供しています。企業年金はNISAやiDeCoのずっと前から存在し、税制優遇にもすぐれた制度です。

しかし企業年金が普及しているのはほぼ大企業で、従業員が30人未満の中小企業では、ほとんど導入されていません。そこで中小企業向けの企業年金サービスを設立し、従業員の資産形成や会社の節税に貢献しています。 これまでなら通常2~3カ月かかっていた企業年金の導入手続きが、徹底的なDXによって数時間で完結するようになり、導入企業の従業員の加入率は、なんと70%を超えるとのことです!

森本 新士氏 登壇

株式会社RevComm 代表取締役 會田 武史 氏https://www.revcomm.co.jp/

営業も、会議も、“声”で変わる

音声解析AIプラットフォーム「MiiTel(ミーテル)」を提供するレブコム。①電話、②ウェブ会議、③対面と、ビジネスで音声コミュニケーションが発生するすべてのシチュエーションにおいて、そのコミュニケーションを可視化・解析し、生産性向上を支援します。

営業担当者が契約を取れないとき、担当者と顧客の会話を見ていない上司は失注の原因を探れません。それを録音・可視化するだけでなく、AIが話し方の速度や話題の傾向を分析し、具体的なコーチングまでしてくれるサービスです。議事録やデータ作成もできるので、残業時間の削減にもつながります。

會田 武史氏 登壇

伊藤 章博 氏(AironWorks株式会社 執行役員 日本代表)https://www.aironworks.com/

システムをサイバー攻撃から守るホワイトハッカー集団

「DXやAIですごく便利になったと感じておられるでしょうが、裏を返すとハッカーもハッキングしやすくなっているんです」という伊藤さんの第一声に、会場の空気は引き締まりました。

サイバー攻撃を含めた情報漏洩の約9割が、人為的な要因(油断、設定ミス、使い方がわかっていないなど)とのこと。そこでアイロンワークスは、企業の従業員に「これは危ないかも」と気づきを促すための、訓練プラットフォームを提供しています。

創業者の1人はイスラエル軍のインテリジェンス部隊出身で、“ハッカー目線”で作られたプロダクトです。

伊藤 章博 氏 登壇

TOPICO株式会社 Founder / 取締役COO 坂入 啓介 氏https://topico.co.jp/

広告の民主化で、次のステージへ

動画サービスTikTok出身の坂入さんは、前職でフォロワー0人のアカウントの動画が100万回再生を打ち出したことに衝撃を受け、芸能人やインフルエンサーに頼る広告の常識を覆そうと起業。

TOPICOのアプリ内で募集する商品(案件)に対し、一般人が広告動画を作成しTiikTokに投稿する仕組み。ある商品では50本(人)の動画投稿で2000万回再生を記録し、著名人1人による広告にも負けない拡散力を証明しています。一般人を巻き込んだ膨大な投稿量と有名放送作家による質の高い動画フォーマットを強みに、 “広告を民主化するプラットフォーム”として企業のマーケティングを支援しています。

坂入 啓介 氏 登壇

神戸×東京、交わることで生まれるもの

再生可能エネルギー事業を行うシン・エナジー株式会社(神戸市)の代表・乾正博さんは、神戸市からレブコムのサービスを聞いたことをきっかけに、すでにレブコムのサービス「MiiTel」を導入済みとのこと。

「會田さんとウェブミーティングをして、すぐに『このサービスはいける』と思いました。もちろん現場に持ち帰り社として検討してから導入しましたが、その最初の一歩が大事なんですよね。」(乾さん)

この日も、TOPICOの坂入さんとウェブミーティングの約束を入れたり、ベター・プレイスの森本さんと、サービスの具体的な内容を話したりしていました。 「この半年で、スタートアップ関連で5つ以上のサービスを入れました。効率化や販売促進など、自社の事業への効果はしゃべり切れないくらいありますよ。こういうイベントは、仕事じゃなくてライブに来るような感覚で参加しています。」(乾さん)

交流の様子

登壇したベター・プレイスの森本さんも、手ごたえを感じていました。

「いろんな方に『めっちゃいいことをしてますね』と言っていただけてありがたいです。今まで関西での取引がなかったので、企業のみなさんはもちろん、銀行とも具体的な打ち合わせの約束ができ、来てよかったです。

 神戸のみなさんは、何だかフレンドリーでアットホームな空気がありますね。ちょうど良い街の規模感で、今日のような草の根の活動もされていて。エコシステムが機能している街という印象があります。」(森本さん)

交流の様子

神戸で、イノベーションの種が芽吹く

東京圏のスタートアップと神戸の企業や起業家が交わるこのイベントは、単なるビジネスマッチングにとどまらず、“人とアイデアの出会いの場”としての可能性を広げることができたのではないかと思います。

神戸市では、神戸の街でイノベーションを生み出していくエコシステムの拡大を、今後も積極的に展開していく予定です。

次の機会には、ぜひあなたも神戸のエコシステムの空気に触れてみてください!

会場の様子